フライ

undoのフライのレビュー・感想・評価

undo(1994年製作の映画)
3.7
岩井俊二監督作品に感じる独特な早朝の高原にいる様な爽やかな映像と空気感が、本作の重く辛い内容を、清々しく綺麗にすら見える、不思議な作品
豊川悦司と山口智子の破綻して行く夫婦の演技は、息を飲む美しさと狂気を感じさせる圧倒的な雰囲気が
序盤妻、萌実の歯列矯正が無くなり、キスシーンの後本来であれば喜ぶべきなのに、違和感を訴えた夫、由起夫の言動から、萌実が少しづつ精神的におかしくなり、何でも紐で縛る姿は観ていて怖かった。ふとした切っ掛けと、積み重なるストレスで破綻して行く関係を、歯列矯正からの解放と物を縛り狂気に見せる展開は素晴らしく思えた。終盤のシーンは兎に角強烈すぎて人間の精神と人間関係の脆さみたいなものを強く感じた。
現実に気づき縛る事で関係を留めようとしている様に見える萌実の行動と、冒頭希望に満ち引っ越して来て、荷物を解くシーンの対比が強烈な皮肉に思えたし、印象に残った。
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