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東ベルリンから来た女のmochiのレビュー・感想・評価

東ベルリンから来た女(2012年製作の映画)
3.6
ヨーロッパの映画はやっぱり色合いがいいわ。派手な色ではなく柔らかい色で構成されていてそれだけで美しい。あと、ストーリーの把握の上では無意味なシーンに時間を使っているのも良い。長回しとかね。
ストーリーはかなりシンプルで、必要なところだけを描く、という感じになっていて、過去の回想などはほとんどない。その点が1人の女性の「今」の苦悩を描く、という意味ではうまくいっている一方で、感情移入は困難だと思う。
医者として生きることと、個人として生きることの間には明確な対立があり、しかもその対立は片方を責め立てるものなのだと思う。男性医師の行為を「ゲスの手助け」などと言った表現している時点で、医者としてはその男性医師に対しある種の敗北を認めたことになる。恋愛関係というよりも、医者として生きることを決めたこと、そしてその決断の裏にはあの男性医師に対して敗北の感情を抱いたことが、この映画のポイントな気がする。
いい映画だとは思うけど、個人的にはもう一歩、という感じでした
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