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さまよう獣のQTakaのレビュー・感想・評価

さまよう獣(2012年製作の映画)
2.9
人はさまよいながら生きている。
女は、少し寄り道が過ぎたようだ。
そして、今、ようやく居場所を見つけたのかもしれない。
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女は、迷いに迷った末に、田舎にたどり着く。
それは、必死に生きている姿なのだが…
問題は、迷い込まれたそこに居合わせた男どもだ。
迷子の女は、圧倒的な魅力を備えていたのだから、男どもはたまらない。
男たちが、有るべき姿を見失う。
つまり、浮き足立つ。
この場面で、渋川清彦、山岸門人の二人が輝きを見せる。
このキャストが絶妙。
実は、渋川清彦がこの映画の目当てでも有った。
間違いなかった。
想像通りだった。
と言うか、期待を裏切らない。
この映画のヒロインは、迷子の女を演じた山崎真実さんなのだが、この映画の注目の役柄は、浮き足立って、空回りする、渋川さんと山岸さんだった。
イイ、実にイイ。
題名の”さまよう獣”は、迷子の女キヨミなのだろうけど。
男どもは、この迷子を前にして、”獣”になろうとしていた。(笑)
そういう、人と人の関わりと変化がわかりやすく、面白いのがイイ。
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まぁ、私的には、清さん一人で十分楽しめたのだけれども。
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内田伸輝監督は『おだやかな日常』で、311直後の東京の日常に起こった放射能パニックを描いていた。
起こった事を、いかに捉え表現し伝えるのか。
映画による表現者の立場から、あの時の現実に即座に対応した監督だ。
残念ながら、その『おだやかな日常』を見ていないのだが、この映画を観て、ますます観たくなった。
映画で伝える。映画で見せる。そういう事の出来る監督だと思った。
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