ネタバレ
どう考えてもハッピーエンドではないが、
敢えて希望があるかのようなエンド場面とエンドテーマにしたのは、視聴者が身に詰まされ沈痛な気持ちにならないような思いやりだったのかもしれない。
実際、あれではどん底のホームレスになるしかないような流れだったのだから・・・
主役男が前のめり軽率街道まっしぐらで無理な借金をしまくりレストラン開業をもくろむが、消防関連の金をけちったがために営業許可が下りずそこからものの見事な転落人生。
恋人女子は金を作るため息子を主役男に預けカナダ出稼ぎ。
安宿での義理親子二人の貧乏暮らしは惨状を極め、男が頼れる人間はもはや誰もいない。
仕方なくレストランを売却しようにも安く買いたたかれ借金は帳消しにならない。
追い詰められた男には〝犯罪”しか残されていなかった・・
その金で恋人のいるカナダに行くが、なんと逮捕収監されていた・・・という凄まじいネガエピソードの畳みかけ。
フランス映画らしい軽妙洒脱がところどころあっても何の救いにも笑いにもならない。
しかし冒頭にも書いたように、それでも無理やり明るく持って行ってしまうエンドには、こちらの心情的にはある意味救いとはなったが、全く救いのないどん底のダークエンディングのほうが、実は悲哀ゆえのカタルシス(精神浄化)が生じたかもしれないので判断は難しいところ。
だって、あんなごろつきどもから金を撒き上げて、いくらカナダという遠隔地とはいえ無事で済むわけないものね。
とはいっても、最後まで「一体どうなるんだ??」というちょっと強めの好奇心と集中は維持されたのは間違いない。
3.1の三ツ星
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