emily

よりよき人生のemilyのレビュー・感想・評価

よりよき人生(2011年製作の映画)
3.6
コックのヤンはシングルマザーのナディアと出会い、その子供ともよい関係を築く。自分の店を持つのが夢のヤンは、ナディアとともに理想的な場所を見つけ、全財産をはたいて、そこを押さえようとするが、足りず、消費者金融に手をつけてしまう。借金に追われ、消防署からも手抜きを見抜かれ、許可がおりない。ナディアは状況打破のため紹介されたカナダでの仕事に、子供はヤンに預けたまま行くことにする。給料は2倍になるとの約束だったが、彼女と連絡が途絶え、ヤンと子供は盗んだお金で彼女のもとに向かう。

よりよき人生を求めて、有り金と借金はたいて手に入れたお店を開くための場所。そのときが絶頂のピークだった。はたからみたら計画性のない行動だし、うまくいくわけないと思う。ただ本人たちはそこに夢を描いて、店さえ開ければ、軌道に乗せられると思っているのだ。ピークの笑顔からどんどんと転がり落ちる様を淡々と冷酷に描いている。
ただそこにもよいこともある。
ヤンとナディアの息子との関係性だ。
父親でもない、義理の息子でもないこの二人の関係性が
徐々に父と子のようになっていく。徐々に距離感が埋まっていく・・ヤンに守るべきものができる。しっかりと愛が芽生え
大人になっていく姿には共感できるものがある。

どん底まで落ちている。すべて失って気が付くこともある。
あいするひと、守るべき人がそばにいる。
それに気が付けただけでも、よりよき人生が待ってると思える。
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