FukiIkeda

ゼロ・ダーク・サーティのFukiIkedaのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
3.4
ビンラディンを殺害するまでのCIA女性工作員の10年。
本当か嘘かは別として、拷問を見ても首を傾げるどころか、自分の手は汚さずに拷問させることを覚え、同僚のミスで同僚が自爆テロに巻き込まれたことをキッカケに復習の執念に取り憑かれ、絶対悪と決めつけたビンラディンを狂気とも言える程に執拗に追い回す。
個人的な恨みをもった思い込みほどアテにならないものはないと思う私にとっては、ある意味、彼女の常軌を逸した感情的な行動には正直、とんでもない恐怖を感じるし、そんな彼女の感情論に振り回されたともいえるあの作戦が本当に成功したとは思えない作りになっているように感じた。
まぁ、そのそもそも論をここで言ってしまうと元も子もないのかもしれないけれど、この主人公の彼女が、わかりやすくアメリカ的な考えに忠実すぎるがための、落とし穴というか…
彼女が真実を知れば知るほど自分の行いや同僚の行動、アメリカ政府に対して首を傾げたり止まったりするタイミングがあってもいいのに、それすらもないところがよりサイボーグっぽいというか。
あまりにも上手く纏められすぎて、美化されてしまった狂気にしか見えない。
戦争ってその狂気すら美化されてしまうし、不測の事態が常に起こり、誤爆や取り返しのつかない失態が多々起き、正義と言う名の不正義が当たり前の場所で、だからこそ、隠された真実や葬られた戦犯は計り知れなくて当たり前で…。
イラクでのアメリカ軍による笑いながらのイラクへの無差別攻撃のwikileaksの実際映像なんかを思い出し、どうしても重ね合わせながら見てしまい、それは氷山の一角で、何の真相も掴めないビンラディン殺害作戦はその時に必要だったシナリオで、英雄風にしたて上げられた彼女の狂気は今も彼女と共にあることを思うと、彼女もまた戦争の被害者なんじゃないかな…と。
そこまで思いを馳せてしまうほど、有る意味リアルで有る意味、上手くできすぎてわざとらしさも残した、不思議な映画だなーって思った。

※後日追記2020.6.3
Amazon originalでやってるThe report 観てたら、正にこの映画の内容と映画のトレーラーが出てくるんだけど、私が感じた事は正しくて、このCIAの作戦は、人体実験でしかなく、英雄的でもただの狂気でしかなかった…
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