しろくま

チチを撮りにのしろくまのレビュー・感想・評価

チチを撮りに(2012年製作の映画)
4.0
2022.03.27/076/GYAO
〝そうだあんた達。ついでだから会いに行ってくれば?とにかく明日行って最後のお別れをしてくること。これで、お父さんの写真を撮ってきてほしいの〟と娘たちに頼む母親。

父親の見舞いに向かう途中、亡くなったという知らせを受けた娘たち。急遽お葬式に出席することになって、キャッチコピーのような〝感動の再会と思ったらそこは修羅場でした〟な展開に。ずっと会っていない、ほとんど記憶のない父親のお葬式。父親は再婚をして小学生の子どももいて妙な疎外感。赤い服のお姉ちゃんは特に浮きまくっていて、場違いも甚だしいんだけど、子どものときの父親との回想シーンを観たら、そういうことねと妙に納得。

母親ゆずりのはっきりものをいう姉・葉月が見事な啖呵を切って場を収めたのは流石だし、涙を流しながら姉に食って掛かる寡黙な妹・呼春の母親のことを考えた言葉も心にしみた。蹴ったり抱き合ったりで、仲がいいんだか悪いんだかわからない姉妹の関係がとってもリアルで微笑ましい。

そして、後半は怒涛の伏線回収。不謹慎だけど笑ってしまうシーンとしんみりするシーンをうまく絡めてくる。火葬場のドタバタの後のおにぎりを食べながらの小学生とのやり取りもよかったし、別れのシーンもいいね。最後の母親への報告のシーンも最高に泣かせて笑わせる素敵な映画。
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