ろく

セックスの向こう側 AV男優という生き方のろくのレビュー・感想・評価

3.2
AV男優のインタビュー集。どっちかというと統一のイメージがあるわけではなく「男優もいろいろ」な展開になっている。

面白かったのは(当たり前だけど)みんな考え方は違うってことだよ。そしてそれが「正しい」とかで突き進んでいる人は少ないってこと。男優である前に「人間」なんだと思っちゃう。

あと、この世界でも分断や世代の問題は(これも当たりまえだけど)あるってこと。「昔は良かった」の言説はここでもしっかりでてくるし、今のAVに対しての不満もある。それはみんな持っている感じなの。

加藤鷹は流石でカリスマあって全共闘の闘士のような感じがした。「三島由紀夫と東大生」で出てくる芥に似ているかなと。雰囲気も、そして自己を防御するとこも。カリスマはカリスマでいなければいけないんだろう。

あと高学歴ながらAVの世界に飛び込んだ森林原人としみけんの対比ね。僕はしみけんみたいな人間はほんと苦手だけど彼は彼なりの「倫理」があるんだと思いしみじみ。人間どうも苦手なタイプは「わかろうとしない」ことが多いからね。それではいけない。こんな映画を観てそんなこと思う必要もないだろうと思うけどね。森林は逆に完全にオタクが絵を描いた感じでこれはこれで苦手な人がいるだろうけどやはり「倫理」がある。なるほど。

資料として面白い。ここから「性の産業」を肯定化するつもりもないMMだけど、ただ「ある」ってことは事実なわけ。そしてそこまでも全否定してはいけないだろうって思うんですよ。
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