さわら

セックスの向こう側 AV男優という生き方のさわらのレビュー・感想・評価

1.5
結局、この映画を見たところで「セックスの向こう側」が見えるわけではない。むしろ多くの男優が好き勝手にAVについて、女性について、自らの仕事について語ってるだけなので、さらに互いに言ってることは矛盾してるし、そう考えるとそもそもその答えなんか求めてないんじゃないかとすら思う。だとしたら、この作品はドキュメンタリー映画として機能していないのではないか。結局何が言いたかったのか、曖昧なまま映画は終わる。泡沫候補に焦点を当てた「立候補」、あの映画で感じた現代民主主義への危惧のような強いメッセージ性は、この映画からは感じられない。題材は面白いはずなのにすごくもったいない。そもそもインタビューだけで86分はかなり辛い。見てる方が苦行である。ころころインタビューされている男優が変わるので、誰にも共感に至らずに映画は終わるし、心にも残らない。本当に不満しかない映画も珍しい。男優だけでなく、それを支える家族や親族が出てきたら、映画に深みが出てくると思うのだが…、まぁAV男優だけになかなか協力を得にくいとは思うが。でもそうだとしたら、わざわざお金を払って見る必要もないかと思う代物であった。