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草原の椅子のtheocatsのレビュー・感想・評価

草原の椅子(2013年製作の映画)
4.0
ネタバレ
無責任夫婦っぷりが突き抜けてポジに転ず

邦画によくある見ちゃおれん生温いドラマだろうと期待値ゼロ。ところが弱い磁力ながらも徐々に引きつけられ、結構な満足が得られてしまった。

この映画の成功要因として子供の両親が余りにも常軌を逸したとんでもバカ親と誰にでも納得できるよう誇張気味の演出をした点が挙げられる。
あそこが弱いと後の展開の説得力が出てこなかったと思う。

佐藤浩市も一度は子供を引き取って育てると決めながら吉瀬美智子の咎めに考え直し、子供を施設に預けると決めた場面は「あれっ!?」と予想外の展開になってしまったが、なるほどねそれも振りだったというわけだ。

予算的にも工程的にも相当大掛かりだったろうなと想像されるフンザロケも、四人の鬱積した思いを解放させるという必然性と説得力が伴っていたので間違いなく成功と言える。

そこでそうなりそうな予感は見ている誰しも抱いたと思うが、佐藤側ではなく吉瀬側からのアプローチを予想できた人は少ないに違いない。私もエッ!?となってしまったよ。

というわけで深く感動するまではいかなかったけれど、そこそこ心がほぐされ、フンザの景観に解放感を味わうことが出来た異色ホームドラマ。

子供とバカ夫婦も含め俳優陣もお見事でした。

成島出という監督は芸術性が前面に出るというよりは職人的な中庸性が特徴の監督さんなのだろう。だからお偉方の意向や脚本の出来がそのまま映像の質に反映されやすいのかもしれない。
知ったかぶりの的外れかもしれないが本作を見てそんな風に思ってしまった。

3.6の四つ星
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