ひとりのバツイチ中年男が様々な出会いを通じて展開される人間模様。セリフは時に臭く芝居じみて感じされる場面もあるが、その多くは原作にあるものをできるだけ生かしている。
それだけに小説を映画化するのは難しい。語りすぎてしまうのだ。
ただ本作は限られた2時間余の枠に、ストーリーテラーである宮本輝の長編小説を単に映像にするだけでなく、原作の描く人々の心のうつろいや原作者の語りたかったであろう主題を画面の中にただよわせることに完全とは言えないものの成功している。
製作者たちの作品づくりに対する誠実さが伝わってくる。