Ren

俺俺のRenのレビュー・感想・評価

俺俺(2013年製作の映画)
3.0
昨年鑑賞。三木聡作品を初鑑賞、原作は数年前に読んで忘れた。スコアが低すぎる気がしなくもないけど、個人的にはそこまで酷評するようなものではないと思う。

形容の仕方はいくらでもあるけど、一番はやはり「『世にも奇妙な物語』っぽい」。最後まで説明のされない、自分が分裂していく世界にノれるかノれないかの好みはあれど、説明不足だから駄作とするのは流石に乱暴だし可哀想だと思う。

「自分が分裂する」ことは、現代人であれば誰もが持つ感覚なのでは?SNSを投稿するときに、自分を良く見せたいと思わず虚勢を張らずに発言したり写真をアップする人はきっと殆ど居なくて、芸能人の私生活がスクープされれば「こんな一面があったんだ!」と当然のように言われる社会。同じ自分なのに違う自分が何人も存在しているような感覚は、誰でも存在し得る。
そんな感覚を、時代性を象徴するツールを極力排除して表現した点で面白い試みの作品だと思った。時代関係無く観られるように意図的にしており、根底は星新一作品のマインドに似ている。

自分が映る大量の家電量販店のテレビ。“DO NOT PROLIFERATION“ の貼り紙。「○○(読めなかった)を増やします!」と書かれた選挙ポスター。分裂や増殖を示唆するモチーフはこれ見よがしすぎるけど、そもそも現実的な物語ではなくリアリズムを無視したシュールコメディなので、これくらい過剰でよかったと思う。
川やシャワーなど水の使われ方も印象的。それ自体がJホラーっぽい。

亀梨和也の33役も見もの。演じ分けが新鮮で楽しいし、彼はど真ん中のイケメンよりもどこか無気力な人間が似合うな〜と改めて思った。
中弛みは否めないのでずっと楽しい!とは言えないけど、総じて平均スコア2.7という世評ほどの駄作ではないのではと感じた。
Ren

Ren