ひこくろ

俺俺のひこくろのレビュー・感想・評価

俺俺(2013年製作の映画)
4.0
こういう、いろんなところに仕込んだ小ネタを見つけて楽しむような映画は、基本的には大の苦手なんだけど、これは面白かった。

根本のストーリーとなっているアイデアがとにかく秀逸。
性格は異なるが見た目も考えも同じ「俺」が次々と増殖していくというのが抜群に面白い。
増えていく「俺」を集めて、「俺帝国」を作ろうと企むくだりや、増殖した「俺」が「俺」を殺しあう「削除」を決行しはじめるくだりなんかは、サスペンス映画としても十分に見応えがあった。
オチはなんかなあって感じだったけど、その前のミステリー的な展開や、ラストシーンの不気味さはとてもいい。
「俺」同士がバトルロワイアルのように殺しあうカオスっぷりも面白かった。

また、なんと言っても光っているのは主演の亀梨和也だろう。
メイクの力も大きいのだろうけれど、七変化ぶりは見ていて単純におかしい。
なにより、メインキャラの三人をきっちり演じ分けているのが映画の魅力につながっていた。
全部で33人役。
これだけ多かったら、本人もきっと楽しかったと思う。
その楽しさは映画からもちゃんと伝わってきた。

あまりに小ネタが多いのと、そのせいで説明が付かなくなっている設定が多いのには、ちょっと疑問も抱く。
ただ、それを差し置いても、十分に楽しくて面白い映画だった。
欲を言えば、小ネタとかなしで撮ったものも観たかったとは思ったけど。
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