mam

マルタのmamのネタバレレビュー・内容・結末

マルタ(1974年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

サディスティックな男と結婚してしまった世間知らずなブルジョワ女性が、洗脳され受け入れようともがき苦しみ恐怖に慄くサイコ・サスペンス。

精神的にも肉体的にも痛めつけられ夫に従順になるよう調教されてゆくマルタ。
支配する側と支配される側の、不気味に熱を帯びていく過程がポランスキーの「毛皮のヴィーナス」みたいで精神的にやられる。

まず初デートが夜のジェットコースターからのマルタの嘔吐でプロポーズ。ハネムーン先のビーチでひどい日焼けに苦しむマルタに興奮して無理やり及ぶ性行為。新居は殺人事件のあった曰く付きの邸宅、しかも夫は週末以外は出張でマルタは一人きりにさせられる。図書館の仕事も勝手に辞表を出され外の世界とは遮断、自分の好きな音楽や本までも否定され、挙句には土木工学の本を読むよう強要される。性行為の際はくっきり歯形の噛み跡まで付けられ、外出もままならず拘束はエスカレートしてゆき、心も身体もギリギリの所まで追い詰められてゆく...。飼おうと思っていた猫を殺され、もういよいよ殺されかねないと思ったマルタは図書館の友人に助けを求める。しかし逃走中に友人は事故死、マルタは半身不随になってしまうのでした。

ラストの、もう完全に感情も死んでしまいモノとして無機物のようになってしまった車椅子のマルタが哀れ...。

陶器のように冷たく青白い肌、痩せ細った幸薄な身体のマルギット・カルステンセンが責め苛まれる姿に引き込まれる。
何度も映し出される鏡越しのショットが印象的なミヒャエル・バルハウスの撮影も素晴らしくて。

2023-411
mam

mam