オトマイム

マルタのオトマイムのレビュー・感想・評価

マルタ(1974年製作の映画)
4.0
結婚(あるいは親子)における支配関係を究極に突き詰め、逃げ出したくなるほどおぞましい映画である。
内容的にはおぞましいのだけれどカメラワークが実験的で面白く、追い詰められていくマルタの心理が彼女の表情ばかりではなくカメラの動きよって繊細に描写され、こちらもどんどん心理的圧迫を感じてくる。リビングで背中合わせに座るふたりのショットがすごい。360度回転するカメラが印象的だった。※

夫がマルタを抱く場面がすべてサディスティックで怖い。新婚旅行のあれはヒィィやめて〜と叫びたくなった。
決して気持ちのよい作品ではないけれど傑作だと思う。



※ズラウスキー作品でおなじみの手法だがマルタが1975年、ズラウスキーのデビュー作『夜の第三部分』が1972年だからズラウスキーの方が先かな?たぶん夜の…にも360度回転カメラがあったような気がするけどわからない(覚えてる方がいたら教えてください)。
カメラマンのミヒャエル・バルハウスがこの手法を本作で生み出して自分のトレードマークにしたという記事を映画館の張り紙解説で読んだのでちょっと気になりました。