湯っ子

アンチクライストの湯っ子のレビュー・感想・評価

アンチクライスト(2009年製作の映画)
4.0
的外れかもしれませんが、思いのままに書きます。
トリアー監督って、ただ女を痛めつけて喜ぶ人なのかと思っていたけど、ちょっと印象が変わった。もちろんそういう嗜好はあると思う。でもその裏に、想像を絶するほどの罪悪感や自己嫌悪があるんじゃないか、そういうのがなければ、鬱になんかならないのでは、と思う。
物語のきっかけとなる事件にも、自身の罪悪感を投影してるような気がする。自身の創作欲のままに作った作品のせいで、誰かを傷つけたり誰かの尊厳を奪ったりしたという自責の念があるのかも。
女も男も、人間は醜くて憎いという気持ちと、それでも女を求める気持ちと男として在りたいという気持ちが共存しているように感じる。
さらに、幼児は人間の清らかさの象徴で、それを尊ぶ気持ちと、それを蹂躙したいという暗い欲望が共存しているようにも。
タイトルはとてもストレートなメッセージだと思う。魔女として葬られた女性たちを弔う意思も感じられた。

痛いの苦手な人は注意してください。
湯っ子

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