かわさき

エンド・オブ・ザ・ワールドのかわさきのレビュー・感想・評価

3.5

 実際にその時が来なければ分からないけれど、私は多分ドッジ(スティーブ・カレル)タイプの人間だと思う。地球が破滅するというのに、悶々と何かを考え込んでしまう。周りが乱交パーティーに精を出す中、自分はその乱痴気騒ぎに参加できない。そして「世界の終末に、よく知りもしない相手と話す気になれないよ」と言い放つ。

 分かりますよ、パイセン。

 私にだって性欲はありますから、そりゃあヤレるならヤりたいわけですよ。その気がないわけじゃないんですよ。でもなんか、世界の終末ほど「本物の愛」とやらを探したいのですよ。そう、私たちは、「欲望にまみれた罪深き世界」と「愛を愚直に信じるイノセントな世界」の両方に生きているのである。人間てのはアンビバレンスな生き物だね。ドッジや私は気も小さいし不器用だから、最後の最後までどちらにも振り切れることなく残り少ない時間を過ごしてしまうのだ。運命的な出会いでもなければね。

 砂糖を塗りたくったような甘味100%の本作だけれど、夢も希望もない今こそ、こういう映画は必要だと思います。
かわさき

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