Yuto

風立ちぬのYutoのネタバレレビュー・内容・結末

風立ちぬ(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ジブリだけど、不可思議も魔法もない。堀越二郎という一人の男の物語。

真正面から戦争をテーマに扱う映画ではないけど、主人公は軍人でも兵士でもない飛行機設計士だけど、メッセージ性含め十二分に戦争の凄惨さが伝わる作品だったなと。

少年時代からの夢を叶えてやっと完成させた零戦が帰って来なかった時、二郎は何を思ったかな。
彼が夢にまで想って、病気の菜穂子の傍を離れてまで作った飛行機は戦争で道具として消費されて、人を大勢殺して、きっと色んな思いがあっただろうな。

「美しいところだけ、好きな人に見てもらいたかったのね。」というセリフ、すごく苦しい。
二郎を主軸に物語が進んでいくから見えづらいけど、菜穂子にも色んな思いがあったろうなぁって。病気で苦しいのに心配かけないように気丈に振舞って、お化粧もして、二郎はちゃんと全部気付けてたかな。
色んな愛の形があるけど、菜穂子の愛の形は美しくて切なかったです。

菜穂子が土手で絵を描いている描写、モネの"日傘をさす女"のオマージュだと思うんですけど、この女性モネの妻で若くして結核で亡くなってるんですよね、、
宮崎駿って本当に恐ろしいクリエイターだなと思います。

ラストの「あなた、生きて。」というシーン。本当は「あなた、来て。」だったというお話を読んでもう、、、
でもそうだよね。菜穂子だったら生きてって言うよね。

ユーミンのひこうき雲がとても合う映画でした。
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