浜一

風立ちぬの浜一のレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.0
★ただただ美しい飛行機を造りたいと情熱の限りを尽くした男の生き様。そして、重篤な病の為に長くはない命と自ら悟りながらも男を刹那的に愛した女。2人の物語。
★失われた日本・日本人を描いたというか、昭和初期の雰囲気を上手く描いた作品なのだろう。(昭和中期生まれの自分が言うのも変な話だが・・・)
あまりに昭和後期~平成~令和の雰囲気と違い過ぎて色々と批判に晒されている気がする。
★結核の症状がいよいよ重篤になってきて居ても立ってもいられずに療養所を抜け出した菜穂子。夫、二郎が自身の夢に向かって邁進している姿をただ見守るだけで幸せ。ずっと手を繋いで片時も離れたくない一心でいる。夫にはありのままで仕事を続けていてほしい。タバコも止めないで。そのままで良いから。そして。ついに病に耐えられなくなると醜態を晒したくないと工場にいる夫の帰りも待たずに去って行ってしまった。本当に刹那な愛。「奥さんの事を考えたら仕事辞めろよ」「タバコ良く吸えるよな」という現代的な尺度で測るのが全く野暮な話。
2人の結婚式の場面も美しい。ああいう口上を述べるような結婚式って、どこかの地方にでも残っているのかしら?
★二郎の声もああいう喋り方の男の人っていたんじゃない?自分が知っている人だと俳優の笠智衆。朴訥としていて、棒読みのような台詞回し。宮崎監督は「耳をすませば」で(監督作ではないですが)主人公、雫の父親役をジャーナリストの立花隆氏をキャストして朴訥な喋り方をさせています。確信犯。
★宮崎駿監督が伸び伸びと作りたい物を作った大人向けの映画だと思う。
浜一

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