さかさき

風立ちぬのさかさきのネタバレレビュー・内容・結末

風立ちぬ(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

見終わる頃には嗚咽を吐くほど泣いていた、。

二度も災害に見舞われ、それでも引き寄せられた2人。災害が彼らを引き離し、しかし引き寄せもしたという二面性。

特に好きなのは菜穂子が東京で体調が悪化した時、列車でかけつけ庭から菜穂子にかけよる二郎の場面。「あなた」と声をかける菜穂子。2人の想いの強さに、胸が締め付けられた。

菜穂子の健気さ、二郎の謙虚で一途な姿。彼らの未来に幸在らんことを祈りながらも、場面が進むごとに戦争の影と菜穂子の最期も近づく。

二郎は賢く、戦争が負け戦であることも、破滅の道に進んでいることも知った上で、ただ飛行機に魅了されそれを全うしたかった設計士であった。
しかし、最後の夢のシーンで「国を破滅に導いた」というフレーズがあるように彼もまた、戦争に惑わされた国民であって、自責の念があったことがうかがえる。

二郎はまだ「生きねば」ならない。菜穂子との思い出とともに、戦争に加担したものとして。1人の男性の一生を、たった2時間でよくまとまっていて、本当に素晴らしい作品だった。
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