思いを馳せるその先には、いつも風が吹いている。
いつまでも大事にしたくなる、とても個人的な映画でした。
正直、冒頭で主人公の声を聞いた時に庵野秀明の声がどうにも違和感があってノイズになるかもしれないと危惧していたが、逆に彼の声だからこそ染みるシーンがいくつもあったと鑑賞後には気付かされた。
なんだろうあの声は。
素直に思ったのは、強烈な色気がある。
愛する人と小声で言葉を交わす時に、あの声にドキッとさせられる。もう少し手を握りたい、唇を交わしたい、そんな想いが、混じり気なく純粋に音に乗っかって聴こえてくる感じがした。
またいつか、何気ない日にこの映画をふと観るのだろう。
その時が今から楽しみだ。