このレビューはネタバレを含みます
堀越二郎を庵野秀明にやらせた人は本当に戦犯だと思うよ。
風立ちぬって、評価が二分する作品だと思うんだけど、私は高評価組で、映画館で二回見た。
えー、ゼロ戦作った話なんでしょ?とか、飛行機の話でしょ?って言われるんだけど、違うんだよ、、、違うんだよ、、、って思いながら、まあでも表面だけ汲み取ったらそうなんだろうなあと思う。実際殆ど飛行機作ってるか飛行機の話してるし。
個人的な観点だと、堀越二郎と菜穂子の恋愛物語の印象がある。
第二次世界大戦のあたりの話だけど、火垂るの墓とは陰と陽ほどに違う。火垂るの墓は戦争によって起こる様々な模様を描いているけど、風立ちぬは戦時中って言うのは時代設定であり、戦争という観点での話はほとんど無い。まあ、堀越二郎自体が裕福な人間だから。
菜穂子が結核による死を予感した時、菜穂子は自分から山の病院へ手紙だけを残して帰った。そのときのシーンの「綺麗な姿だけ見せていったのね」は本当に泣けた。
強いなあ。死ぬ瞬間を誰にも看取られずに1人で逝く道を選んだんだもんね。
それにラストシーンのカプローニ伯爵との空想での会話での、堀越二郎の「1機も戻ってきませんでした」の重さ。あんなに生命と時間をかけてつくったゼロ戦は、結局第二次世界大戦では1機も戻ってこなかった。切ないね。
でも終わりは、菜穂子に対しての感謝の言葉だった。
そこから流れるエンディングでの松任谷由実のひこうき雲。
いや、この作品が生まれるはるか前の曲にしては作品にマッチしすぎている。
「高いあの窓で あの子は死ぬ前も空を見ていたの」とか、モロ菜穂子。。。
そんなこんなで、私的にはゼロ戦を作った人の話というより、堀越二郎と妻菜穂子の話って感じでした。
ちなみに、東京大震災を再現した時の地鳴りの音は、人の声で録ったらしいです。