風立ちぬ、いざ生きめやも!
宮崎駿監督 2013年製作
声優:庵野秀明、瀧本美織
シリーズ「映画で振り返る太平洋戦争」
みなさん、お盆休暇はいかがお過ごしですか?
僕も墓参りを済ませ、明日までお休みです!
ようやく映画が観れますね~\(^o^)/
さてさて、お盆のこの時期、しかも明日は「終戦記念日」。やはり太平洋戦争に関わる作品が観たいと思い何作かチョイス。
まずは今作「風立ちぬ」!
宮崎駿監督の夢が溢れた作品でしたね。
公開年以来、久しぶりに観ましたが、改めて思ったことは、今作で宮崎監督は太平洋戦争を描いてはいなかったんだな、ということ。
もちろん知ってるんですよ。
今作の主人公、堀越二郎とは実在の人物です。
あの零式艦上戦闘機、通称「ゼロ戦」の設計者です。
作中で描かれることも実際の話に基づいています。
あのイタリア人のカプローニも実在の人物です。
元々、「宮崎航空興学」の役員一家に生まれ、幼い時から飛行機が身近だった宮崎駿監督が憧れた人物なんです。そんなわけで、この映画はかなりの部分に宮崎駿監督自身が投影されているんですね。
しかし、実話ではない部分も多いのです。
特に、奥さんのこと。
実在の堀越二郎の奥さんは、旧姓佐々木須磨子と言い、お見合いで結婚します。病弱ではなく、子宝にも恵まれ、6人の子供がいるんです。
では、劇中の菜穂子とは?
ここに小説「風立ちぬ」が絡むんですね。
「風立ちぬ」は堀辰雄という小説家が書いた私小説です。この堀自身が結核に犯され、軽井沢で療養しながら小説を書いていたんです。その体験談に基づく話が「風立ちぬ」で、小説の中では主人公が節子という女性と恋をするんですが、この女性が結核を患っていて、軽井沢で療養します。この話が映画「風立ちぬ」に生かされているんですよ。
また、菜穂子という名は、堀の別作品「菜穂子」に由来しています。
そんなわけで、宮崎駿監督は映画「風立ちぬ」を堀越二郎の半生を参考にしながらも、史実に基づいたノンフィクションとして描こうとはしていませんでした。それどころか、半分がフィクションです。
今回改めて観た印象は、これは戦時下の日本の姿を描いた反戦映画なんかではなく、我を忘れてものづくりの夢に生きる男の話でした。宮崎監督は趣味で書いていたと答えていましたが、時間忘れ、周りを省みないその姿は、まさに自分自身の投影でしたね。
でも、映画の印象は、まさにジブリ。
カプローニが出てくる夢のシーンは、
ラピュタ?
ナウシカ?
紅の豚か?
それともハウルかな?
という、どこを切ってもジブリでしたよね。
でも、決して既視感ではない。
それが素晴らしいです。
菜穂子の話を加えることで、単に男のものづくりの話に終わることなく、一般への訴求力のある作品へと昇華されていました。その辺の感覚が、やはり宮崎駿監督は上手いなぁと感じた次第です( ˘ ˘ )ウンウン
さて、最後に音ネタ💩ウンチクンです!
エンディングで流れるこの映画の主題歌は荒井由実さんの「ひこうき雲」です。もう、ぴったりでしたね!
この「ひこうき雲」という曲は、ユーミンの同級生に筋ジストロフィー症の子がいて、その子が高校生の時に亡くなった時のことを思い出して書かれたと言われています。
ことの真相はともかく「空に憧れて、空を駆けていく」と歌うその内容と映画がマッチしていたのは間違いありません。
劇中の、久石譲さんの曲と合わせ、映画を盛り上げていました。本当に素晴らしい選曲でした!
追記
2021年8月28日、地上波放送に合わせ鑑賞
いやぁ、良かったです!
今回は2人の結婚式のシーンで泣いてしまったなぁ。歳をとると、涙腺が弱くなるよね(≧∇≦)ゞ