メルヘンバカ

風立ちぬのメルヘンバカのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.0
二度目を鑑賞したので、書き直します。これは「美しい」映画として観てはいけない。そのようなものとして売り出していた各メディアには遺憾です。これは「美しい夢」「美しい恋」を描いた映画ではない。美しいものに惹かれ続ける二郎の無自覚の罪を描いているんだと思います。だからこそ、菜穂子は美しくあろうとするし、二郎は戦機となる飛行機や貧しい世の中をかえりみない。
初見で私が二郎に強く憤ったのも、彼が自分の罪に無自覚であったのに、周囲がこの映画を「美しい」と称したからです。美しいものを求め続ける彼の生き方は決して美しくない。二郎はラストシーンにおいて自身の罪を自覚したのではないですかね。だからこそ「生きて」が響く。美しくないけれども、美しいものを求めながら生きていかなければならないのが人間だから。
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