さわら

風立ちぬのさわらのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
5.0
ただただ傑作である。鑑賞すべし、1800円以上の価値はある。主人公・堀越二郎が生きた1930年前後は波乱に満ちた時代であった。近代化を目指し、誰もが日本が裕福な国になると信じていた時代。しかしそれとは反対に貧しさは増す一方で、外国視察に行った堀越らは欧米との違いを痛感する。そして日本は戦争へと足を踏み込んでいく。そんな波乱の時代にあった、堀越次郎の飛行機への思い。そして、里見菜穂子への思い。2つの思いは時代の潮流に反するように、あまりにも純粋であり、映画を見る者に深い感動を与える。たしかに「ラピュタ」みたいな派手さはない。たしかに声優・庵野にも多少違和感がある。しかし、それらがこの映画を見るのを妨げているとすれば、それはとても残念なことである。堀越二郎が時代に抗いながら生きた時代、ぜひ劇場にて感じるべきである。(ちなみにオススメシーンは菜穂子との婚姻シーン。三浦哲郎著「忍ぶ川」の婚姻シーンに通ずる美しさがあった)