ユリアン

かぐや姫の物語のユリアンのネタバレレビュー・内容・結末

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

なんで今まで観てこなかったんだろう…最高だった。まずとても珍しい日本画?のような一本筆書きのアニメーション作画に引き込まれる。名付けの宴の夢で走って山に逃げるシーンの荒々しさは圧巻だった。
玉のように可愛らしい赤ちゃんの描写、それを愛でる翁の愛おしさたるや。それがだんだんクソジジイっぽくなってしまう…のだが、翁は翁の価値観のなかで、天の思し召しを必死で考えて責任を果たそうとしたんだよね。それが愛してやまない姫の望まぬことだとも気付けない不器用さが、切ない。一方でずっと理解者でいてくれるお母さん。かぐや姫が両親を愛しながらもどんどん自我を殺していく感情の動きが、手に取るように感じられて辛かった。
最後に別れる時、クライマックスにふさわしい、陽気な音楽を奏でながら迎えに来る月バンド隊。そこから涙腺崩壊… 両親と最後の語りをするも、ふっと天の羽衣をかけられて人の顔ではなくなったまま終わりを迎える無慈悲。あれは目に見える死と成仏の演出なんだなと思った。その魂との根性の別れ、精神的繋がりの断絶。それでもかれらは家族だった。翁も嫗もその温かさを死ぬまで懐に持って生きていくよ
ユリアン

ユリアン