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かぐや姫の物語のstanleyのレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
4.0
お話のあらすじは誰もが知る「竹取物語」 

しかし、「なぜ?」という部分が多いのも確かですね 
とはいえ、童話やおとぎ話としての認識が高いため 
それほど真剣に考えたことはありませんでした 

この作品ではひとりの女性として 
かぐや姫が描かれている 

『女性の成長』を描かせたら 
右に出るものはいないであろう 高畑勲監督の作品 

彼がかぐや姫に対し、 
何を思い、何を語らせたかったのか 
ある意味ではココが描かれています 

お得意の?「水彩画タッチ」の作画については 
監督なりのこだわりや考えがあるのだろうか 
感情の変化や躍動感を感じさせてくれるのだけれど 
前半はそれほど印象的には映らなかった 

しかし、後半むしろラストシーンでは 
宗教的な意味合いもあってか 
とても印象的に感じられ 
すべては計算されたものだったのだと思い知らされる 
見透かされていたという言葉の方がしっくりくるかな 

月と地球、陰と陽、生と死 
このテーマは多くの作品で取り上げられるものでもあり 
それほど大きなショックというか衝撃はないですし 
「罪と罰」というのも予想の範囲を飛び出しませんが 

「女性の成長」というもうひとつのテーマに 
心揺さぶられます 

娘を持つ親としてあるあるネタがちりばめられ 
感情移入せずにはいられません 

かぐや姫の感情・葛藤が繊細に描かれているのはもちろん 
おじいさん役の地井さんへの感情も入り混じって 
苦しくもあり涙溢れんばかりです 

ひとりの女性となったかぐや姫 
そして彼女を取り巻く人間たち 
これは遠い昔話ではなく 
現代のお話です
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