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かぐや姫の物語のkazu1961のレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
4.5
▪️Title : 「かぐや姫の物語」
Original Title :※※※
▪️Release Date:2013/11/23
▪️Production Country:日本
🏆Main Awards :※※※
🕰Running Time:137分
▪️Appreciation Record :2020-231 再鑑賞
▪️My Review
高畑監督最期の集大成となる作品ですね。そして、本当に悲しい物語です。
本作は、誰もが知る“かぐや姫”の筋書きはそのままに、誰もが知ることのなかったその「心」を描くことで、高畑勲が解釈する日本最古の物語に隠された人間・かぐや姫の真実を描き出しています。それは日本の四季と豊かな自然の中で生き、時に荒々しく感情を爆発させ動き回る、かぐや姫を生身の人間として描いた物語であり、心に刺さるリアルな物語でもあります。
既製のアニメーションの枠組みを超えた作品を生み出し続けた高畑監督のこだわりによってデジタルならではの技法を極限まで追求した作品になっています。ざっくりした描線で描かれたキャラクターと水彩で描かれた美術が美しく融合させ、個人作家が用いる手描き線を生かす表現は、長編アニメーションでは困難を極めますが、高畑監督はこの表現にこだわり抜き、日本のアニメーション界の素晴らしい画家たちの力を結集し実現させたんですね。
その結果、日本の誰もがよく知る竹取物語に全く新しい生命を吹き込み、アニメーションというものの素晴らしさや力、さらには日本の文化や風土というものを広く強く人々に再認識させました。そんな素晴らしい作品です。
なんと、日本のアニメ映画としては破格ともいえる、企画開始から8年の歳月と50億円を超える製作費が投じられたんですね。高畑監督の集大成の作品と言われる所以です。

そして、かぐや姫の罪と罰とは。。。高畑監督は次のように語っています。
“だって原作に書いてあるんですよ。姫は「昔の契りによって来たんだ」と言うし、お迎えの月の人は「罪を犯されたので下ろした」が、「罪の償いの期限が終わったので迎えに来た」とかね。
僕のアイディアというのは、罪を犯してこれから地上に下ろされようとしているかぐや姫が、期待感で喜々としていることなんです。それはなぜなのか。地球が魅力的であるらしいことを密かに知ったからなんですよ、きっと。しかしそれこそが罪なんだと。しかも罰が他ならぬその地球に下ろすことなんです。なぜなら、地球が穢れていることは明らかだから、姫も地上でそれを認めるだろう。そうすればたちまち罪は許される、という構造。それを思いついたんです”(参考:exciteニュース)

本当、とても悲しくて美しい作品。
日本の文化や風土というのもを世界にも知らしめた、高畑監督集大成の作品、日本アニメにおける傑作といえるんじゃないでしょうか!!

▪️Overview
高畑勲監督が「ホーホケキョとなりの山田くん」(1999)以来、約14年ぶりに手がけた監督作。日本最古の物語といわれる「竹取物語」を題材に、「罪を犯したために、この地に下ろされた」とされてるかぐや姫の犯した罪、そして、罰とは何かを描き出す。主人公のかぐや姫役の声優は、NHK連続テレビ小説「てっぱん」などに出演した女優の朝倉あき。2012年6月に他界した俳優の地井武男が、作画完成前に声を収録するプレスコ方式で生前に収録を済ませており、かぐや姫を見つけ育てる翁役として声優出演を果たした。宮崎駿監督作品で常連の久石譲が、高畑監督作で初めて音楽を担当。(参考:映画.com)

キネマ旬報ベスト・テンでの第4位という結果は、高畑勲の監督作品としては過去最高順位である。声の出演は、朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子。
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