Ryu

世界にひとつのプレイブックのRyuのレビュー・感想・評価

3.8
妻の浮気によって心のバランスを崩して精神病院に8ヶ月いたパット。退院した彼は友人のロニー夫婦に食事会に誘われて、そこでロニーの妻の妹であるティファニーと出会う。彼女も夫を亡くしたことで心に傷を抱えて、心理療法を受けていた。2人は意気投合するが、ともに不安定な状態でぶつかり合うこともあった。そんな中、ティファニーは強引にパットを誘いダンスコンテストに出場することを決意する。

心に傷を負った人の再生物語なんですが、メインの2人ともがそんな状態で、さらに主人公のお父さんも中々ぶっ飛んでいる。ここまで主要人物がぶっ飛んでいるのは中々珍しいんじゃないかと思いました。
前半は観ていて痛々しいというか、恥ずかしいというか、心に傷負っているが故だということはわかっているんですが、見てられないと思うくらいでした。
そんな何もかも全然上手くいかない状態からダンスというひとつの同じ目標を持ったパットとティファニー。他者を助けること、目標を持つこと、共有することが心の支えになるんだなぁ としみじみ思いました。
キャスト陣の演技合戦も非常に見応えがありました。今作はアカデミー賞の演技部門全てでノミネートを果たし、結果、ジェニファー・ローレンスが主演女優賞に輝きました。キズだらけのボロボロ具合と時折見せる女の顔、セクシーでいて繊細。こんな難しい役柄をまだ20歳そこそこで演じ切るのはスゴいと思います。ブラッドリー・クーパーやロバート・デ・ニーロの感情が爆発する演技も見事だし、ひたすら見守る母 ジャッキー・ウィーバーの包容力も見事でした。
ラストの展開を見ると、やっぱりロマコメだなぁと思うんですが、それにしては中々辛い部分も濃く描いていて暗〜い時間も多くて、ヒューマンドラマも性質もありました。人生のプラスの要素もマイナスの要素も兼ね備えた素敵な作品でした。
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