せみ多論

世界にひとつのプレイブックのせみ多論のレビュー・感想・評価

4.0
主人公のパットとティファニー、お互いが心に傷を負っている状況で出会い、衝突しながらお互いを癒し、そして成長していく、とても清々しい物語。

ストーリーも面白いのですが、主演二人の演技がとても素敵。

特にティファニーを演じる、ジェニファー・ローレンスの演技がもうたまらなく好き。
序盤の不安定な精神状態がいつ爆発するかわからないような、危うさを秘めた演技、パットとのダンスシーンでのとびきり魅力的な表情、ラストシーンのあの幸せそうな笑顔。こんな多彩な表情を見せて頂けただけでも鑑賞した甲斐がありました。
登場した時に、腫物のように触りがたく気難しそうな女性に見えたはずなのに、最後にはこんなにも魅かれるとは思いませんでした。

精神的に病んだ状況、例えばパットの視野や考えが狭く偏向したものになって他者の意見を聞き入れない様子や、またそんな彼と周囲との認識のずれの描写は凄くリアリティーがあり、そうした状況が変わっていくと同時に演者の表情も色めいたものになっていく、ここがとても魅力的で清々しい感覚を覚える要因なのだと思う。

個人的には演技も脚本も演出も音楽も全部良い印象の映画でした。
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