三樹夫

キャビンの三樹夫のレビュー・感想・評価

キャビン(2011年製作の映画)
3.8
若者5人がホラー映画でよくあるような惨劇に巻き込まれていく。これはすべて謎の組織のシナリオ通りで、謎の組織は客というかホラー好きのクトゥルフみたいな奴のためにこんなことをやっているらしく、世界中で似たようなことが行われているというメタホラーコメディ映画だ。
メタ視点でいうと謎の組織というのはホラー映画のスタッフで、半魚人は後片付けが大変だから嫌と制作部みたいなことを言う。ありとあらゆる怪物のストックを持っており、ホラーの定石通りのシナリオに当てはめてこようとする。そして客というかホラー好きのクトゥルフみたいな奴は何かというとホラー映画の観客であろう。ホラーの定石通りにやってれば大人しいというやっかいな奴。

謎の組織のシナリオ通りというフィルターにより、この映画の特に前半の起きることはホラー映画の定石として明確に浮かび上がってくる。処女で知性のある主人公、良い奴、金髪のエロバカ、脳筋バカ、ハッパをやってるようなはみ出し者兼オタクのホラー映画でよくあるメンバー構成がより明確に可視化される。
目的地への道中に寄るガソリンスタンドは、定期的にビュッと水鉄砲ぐらいツバを吐く嫌なオヤジに寂れに寂れた外観というのもあるあるだ。ガソリンスタンドのオヤジが意識高い系で全員から笑いものにされているのは笑った。
シガニー・ウィーバーは『宇宙人ポール』のエイリアン絶対許さないウーマンといい、この時期は撮影の拘束日数1日みたいな出方してるな。

劇中で日本でも同じようなことが日本バージョンとしてローカライズされ行われているが、これも洋画でよくある微妙に間違った日本描写なのが笑った。Jホラー意識なんだけど、こんな儀式みたことねぇみたいな謎儀式だし、幽霊というよりはエクソシストで微妙に間違ったJホラーだった。
『キューブ』の日本版リメイクなんかやるより、日本の映画会社はこの映画の日本版リメイクを作るべきだったよねと観てて思った。学校か呪われた家かで組織のシナリオ通りにJホラー的な惨劇が起きるやつ。そして最後は三輪ひとみが出てくる。
三樹夫

三樹夫