Eyesworth

キャビンのEyesworthのレビュー・感想・評価

キャビン(2011年製作の映画)
4.7
【処女と愚者】

ドリュー・ゴダート監督の2012年の王道ホラー博覧会的トゥルーマン・ショー。

〈あらすじ〉
湖畔の古びた山小屋を訪れた大学生の男女5人が、地下室で古いノートを見つける。それは殺人鬼が綴った日記だった。ほどなくして一行は何者かに襲われ、パニックに陥る。そんな彼らを別の場所で監視する、謎の一団。やがて、若者らとその一団をめぐる秘密が明かされていく…。

〈所感〉
あまり期待しないで見たらめちゃ面白かったパターン。映画に過度に期待しないことって大事。映画から過度に教訓を求めすぎないのも大事。仕事として学問として芸術として真剣に鑑賞することは大変結構だが、時には娯楽一点集中で頭を空にして見るのも良い。仕事(ビジネス)と学問(アカデミー)と芸術(アート)と娯楽(エンターテインメント)できることなら、このすべての要素を満たす鑑賞態度を持っていたい。自戒の念を込めてここに綴る。
さて、この映画はホラーはホラーでも結局人間が一番怖いよ系のメタホラー作品。かつての王道ホラーのオマージュという点で『X』と似てるが、ベクトルが全く違う。結構早めの段階でネタバレ的に若者たちを監視している謎の人物達が現れるので、おいおいこんな見え見えの展開で大丈夫か?と心配してしまったが杞憂だった。『トゥルーマン・ショー』を超ヤバくした感じの内容でめちゃくちゃ面白いと思った。どんでん返しって程でもないが、話がどんどん壮大になってきて挙句の果てには…と手に汗握る局面の連続に終始目が離れることを知らない。集められた5人が適当な若者ではなくそれぞれ役職的なものがあるのが人狼チックで面白い。確かにホラー映画でビッチと愚者は早く死ぬイメージ。ただこの映画は一味違う。そして、館長シガニー・ウィーバーなんかい!彼ら「いにしえのもの達」は超常現象により生まれた本来は自然的なものだが、何故か人間達に捕縛されている。その結果陳腐で人工的な香りすらしてしまう。それら古のもの達を使って若者たちを恐怖のどん底に陥れ、死に至らしめるという彼らの計画だが、まるでそれらを見世物小屋のように閉じ込めているため、あなた達はこんなやつらに悲鳴をあげているんだよ?と我々ホラーファンを揶揄しているようである。本当に怖いのはこんな映画を作り出す我々人間であるというのに。やはり、恐ろしいって面白い。
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