あー

愛、アムールのあーのネタバレレビュー・内容・結末

愛、アムール(2012年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

冒頭からのシーン。
「この映画は重いぞ」って
語りかけられてるみたいだった。

ピアノの一和音目も。

電気が消えた暗い室内のショットにも。

さっきまで普通に話してた妻が突然、
反応がなくなり、話しかけても上の空。

この時の夫の行動で、
この夫婦がどんな夫婦生活を
送ってきたのか感じた。

きっと、自分が中心の生活を 
送ってきてたら夫はふざけるな。って
まず、怒り出すと思う。

タオルを湿らし妻に当て、
具合が悪いのか語りかける。
水道の蛇口を閉め忘れるくらい、
どうしたのか?と心配してる。

この老夫婦は、ちょっとした事でも
「メルシー」と言う。

何かをしてくれて、ありがとう。

有る事が難しい。

感謝は目に見えないけど、
伝えないと伝わらないのだ。
ありがとうも言えばいいってもんじゃない。
心が伴わないありがとうなら
言わない方がマシ。

介護が必要になった妻をベッドへ
運んだ時に妻は言う。
「気兼ねしないで。
放っておいて大丈夫。自分の事をして。」

「本を読んでる姿を見ないでね」と
洒落た言葉で夫の事も気遣ってる。

恋は刺激と活性化。
愛は穏やかな日常の積み重ね。

長年連れ添った夫婦でも、
夫から初耳の話を聞いた時に、
夫が悪戯っ子みたいな笑みで
「まだまだ話してないことは
いっぱいあるよ」で泣いた。

言いたくない事は言わなくていいし、
自分の思い出を一気に語らなくても
いいのだ。
遠い未来に語る時が来た時に、
とっておけばいい。

水を飲もうとしない妻に
死にたいのか?って聞くけど、
愛する人にオムツの交換をして欲しくない。
オネショをした時も、夫が優しくする程
女性は辛いのだ。
観ていても辛い。

だけど、冒頭で感じた「重さ」は
感じなくなった。

「愛」は重さじゃないから。

その答えは、
自分が死ぬ前に分かればいいや。
あー

あー