このレビューはネタバレを含みます
まず言っておきたいのが、本作を観る前にたっぷりと睡眠をとっておいた方が良いということ。
私は昨晩、再生開始15分で眠りに落ちた。
そして今日元気一杯な状態で改めて観たわけだけど、おそらく10年前だったら退屈すぎて最後まで観れなかったと思う。
本作は、簡単に言えば老夫婦の介護の話で、ただそれを映しているだけ。
だけなんだけど、それがこの映画の退屈なところで、最大の魅力でもある。
観る人を飽きさせず楽しんでもらおうって感じは一切なく、ただ老夫婦の介護を見学してるような映像が延々と続く。
「いや、もう良いから次のシーン行けよ」
って思うような長回しのシーンが多く、
「無理矢理10分以上の動画にしようとするYouTuberじゃないんだからさぁ」
などとめちゃくちゃ失礼なことを思ったりしたわけですが、その敢えて要約しない時間にこそ、介護の現実が描かれているのだろう。
瞬間瞬間を切り取るわけではなく、前後たっぷりの余白も映し出すことで夫婦の日常を体感させてくれる。
なるほど、これはまさに作品だ。
あまり親切とは言えない導入からスタートするので、一度観たあとにまた最初から観てみたが、最初の7分くらいが初見の時と全然違った印象になったのが面白い。
そこにはジョルジュとアンヌの、それまでの日常が映っていて、なんだか感慨深いものがあった。
実際、私は介護らしい介護を経験したことがあるわけではないので、いつかまた歳を重ねて観たら評価も変わる、そういうタイプの映画だと思う。
対象年齢というか、対象経験みたいな。
R70だなこれは。