大学のとき、京都の古びたバーで、レーベンブロイ片手に「映画でいいと思った作品は勝手にしやがれのみ!」と豪快に笑うおじさまをお見かけした。後からその方が若松監督だと知った。
それから若松監督の映画をいくつか観た。政治的な論争を繰り広げながら乳を揉み合うなど、私には難解でよくわからなかった。
それから大分経って若松監督が次の映画で高岡蒼佑と山本太郎を起用するらしいという話を聞いた。(当時、反韓発言で干されかけていた高岡蒼佑と、選挙に出る山本太郎はWキワモノの出演と話題になっていたので)
それからまた少し経って、新宿のルノアールに居たら、横の席に山本太郎さんが座ってらっしゃった。もしかして例の映画の打ち合わせだったりして〜とチラチラ見ていたら微笑みかけてくれて握手してくれた。
それからまた少し経って、この映画が公開されたことを知ったが、なんとなく観には行かなかった。公開直後に若松監督の訃報を聞いた。タクシーに轢かれたとのこと、新宿だった。
そして今になってこの映画を観てみたが、遺影の中で動く佐野史郎はハリポタか?とかいうどうでもいい感想しか出てこない。
まだわたしには難解であった。