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アンナ・カレーニナのmiporingoのレビュー・感想・評価

アンナ・カレーニナ(2012年製作の映画)
3.4
原作は高校生の時に読んだきりで、内容はほとんど覚えていなかった。
映画では、ブロンスキーが美しいということ以外に特に魅力の無い男であることが、アンナがただ流されるだけの軽薄な女であることを裏付けているような気がしてならなかった。夫が「わたしが何か悪いことをしたか?」と訊くところで「してないよね」と、夫に肩入れしてしまったのは夫役がジュード・ロウだからではなくてーーそれもあるかもだけどーー全てを捨ててまでついていく価値をブロンスキーに感じられなかったからで、それが制作側の手落ちなのか、アンナの愚かさを強調するためにわざと不倫相手を中身のまるで無い人物として描いたのか、原作をまたあたってみないとわからないですね。何度か救いの手を差し伸べた夫の方が、ずっといいのに。ジュード・ロウだからそう思うのかもだけれど。
コンスタンチンとキティの物語は、もどかしくも美しく地に足がついていて、アンナの悲劇をより際立たせている。
帝政ロシアの社交界の描写が演劇舞台仕立てになっているのが効果的で、人にどう見られることかということが全てという、虚飾や見栄やゴシップにまみれた世界観のメタファーになっているようだった。wikiによると、アンナは死んだあと娘のアニーとなって夫の元へ戻ると書いてあって、「なるほど!」って思ったけど、映画だけでそのことに気付けた人がいたらすごいと思う。それがわかると、最後に息子が妹と戯れている姿に泣けてくる。
個人的には、アンナ役にはもう少し品のある女優さんを使って欲しかったな。きれいではあるんだけど。
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