少女の嘘で人生を狂わされたルーカス。
マッツの迫真の演技が痛い程に心を揺さぶってくる。伏線回収も素晴らしい。
嘘によって変質者の烙印と偏見、嫌がらせと理不尽が、徹底的にルーカスを追い詰める。
悔しさとやるせなさで涙が止まらない。
マルクスの父に対する無罪の主張、ルーカスの絶望と悲壮感に満ちた表情が泣けてくる。
無罪をほとんど主張しないルーカスも少しもどかしいが、
ファニーを殺した人物も分からないし、
みんながルーカスに謝るわけでもないから、冤罪だと思われていないのか?
冤罪だからこそ、感情移入してルーカスの理不尽に対して涙が出るほど悔しいのに、仮に実際に性犯罪者として認識していたのなら、もっと世間の目は厳しそうだし何年経っても仲間の輪には戻れなさそうなもんだが...
あれだけ事が拗れて目に余る事態になっていたのに、翌年の前のようにみんなで暖かく成人の日を迎えていて、分からなくなった。
そしてラスト、
猟銃を撃ったのが誰かも分からないまま、
冤罪の理不尽と屈辱と恐怖を味わって生きていかないといけないのか...
(クララの兄が犯人だと思っているが)
最後までスッキリ解決しない話だからこそ、心に印象的に残る。1度失った信用はもう戻らない。身の潔白なんて信じて貰えない。
唯一の救いは息子と、信じてくれる少しの仲間がいたことか...
冤罪は恐ろしいが、実際に幼い子を狙った犯罪は多いわけで、クララの話をちゃんと聞いて大事にした幼稚園や保護者の反応は正しいんだよな。
確証が取りにくい事案とは言えども、
証言のみだと危うい物がある...
この映画ばっかりはいつも通りにマッツの色気が云々なんて言っていられない。
ただ、彼の見る人の心を揺さぶるような迫真に迫る演技があったからこその作品だと思う。
豊かな自然だが、暗くて寂しい。