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偽りなき者のsenatsuのレビュー・感想・評価

偽りなき者(2012年製作の映画)
4.6
豪の友人に「見れば、君の世界が少し変わる」と勧められて。

今までに体験した事のない感情に呑まれる作品。
正義を笠に着た人間の残酷さ。罪人を投石で殺す、執行人達に正義があるのか。罪に質量があるなら、どちらが重いのだろうか。
誰も目にした事のない想像上のイメージも、全員が信じれば事実になってしまう怖さ。ホラーよりも怖い、現実の怖さをここまで忠実に抽出して高めた作品を見たことがない。

両親が不仲の幼い子供が、親の代わりに面倒をみてくれる父親の親友に、名も知らない恋や父への理想を抱き、キスとハートを贈る。
彼は、男の子に送りなさいと幼子に教え、彼女は自分の気持ちの名前も分からないまま、初めての拒絶に傷つき、
自分の心を取り繕うために小さな嘘をつく

彼にいたずらをされたと。

小さな嘘は人の手を渡るほどに、周りの不安や恐怖の手垢がついて大きくなり、転がりだす。

これは娯楽映画ではない。
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