縞

偽りなき者の縞のレビュー・感想・評価

偽りなき者(2012年製作の映画)
4.5
登場人物全員に対して共感できない点がなかった(ファニーへの仕打ちを除いて)
子どもからおとなまで、あらゆる人が持ちうる大小問わない悪意や歪んだ正義が積み重なればこういうことは容易に起こりうるだろう
誰かの小さな悪意を不安定な心が無意識に歪めてしまうこともあるだろう
マルクスがルーカスを守ろうとしたように、クララの家族が娘を無条件に信じるのは当然だろう
私だってきっと、近所にルーカスのような人がいればのちに潔白を証明されたとしても悪い印象を忘れることなんてできないだろう

謂れのない疑いを向けられてもルーカスは冷静かつ穏やかで、子どもたちに手をあげることは決してなく、冒頭溺れかけの友人を助けに行ったり、彼はもともとかなりの人格者なんだろうと推測できた そしてそのことを周りも理解していて、それでも一度容疑がかかるとあそこまで非難できるのだと

そういうどうしようもできないコミュニティと対人の性質を巧妙に描き切っている、恐ろしい作品
ルーカスの心情に合わせて使い分けられた構図が面白かった
縞