カメチー

海と大陸のカメチーのネタバレレビュー・内容・結末

海と大陸(2011年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

難民の置かれた状況に関してはとても疎い私ですが、彼らの置かれた状況をほんの少しだけ疑似体験することができる良作でした。

この作品では、難民を「助ける側」の視点からストーリーが描かれていくので、あまり痛々しい描写は少なく、構えずに難なく観ることができます。(デザートフラワー、グッドライは、難民主体で描かれていくので、その分胸が苦しく、引き裂かれるように感じる場面が多いように思います。)その分、陽気なバカンスの地と難民が行き着く先としての陰の部分の対比が、うまい具合に表現されていたと思います。

それでも、「助ける側」には助ける側の苦悩があり、どちらかというとその立場になりうる可能性の方が大きい自分としては、「自分だったらどうするだろうか?」と、鑑賞中何度も自問する場面がありました。最後、フィリッポが匿っていた難民を連れて爆走していくシーンには、「そんな大きな決断を二十歳そこそこで…?!」と驚きつつも、やはり胸を打たれてしまったのでした。彼らを連れて大海原を渡っていくフィリッポたちの船を、天空からかなり引いて撮影されていたシーンはとても美しかったです。(深緑色をした深海魚の鱗のような波が、光に反射して美しくもあり、おどろおどろしい獣のようでもあった…)


ストーリーとは関係ないですが、イタリアの娘たちの成熟した姿に、羨望の眼差しでした。
舞台はイタリア南部の小さな村で、二十歳そこそこの若者がうじゃうじゃと出てきましたが、皆さん発育がよろしいのなんのって…。若者からおばさま(フィリッポの母)まであの色気!ブラボーです。


※過去4年間(2018年五月現在)でアフリカからイタリアへ亡命してきた難民の数は80万人。そのうち旅路の途中で亡くなった人は1.8万人。
難民として海を渡る人たちは、現地でもかなり裕福な人たち。本当に貧しい人たちは海を渡るための大金を用意できずに、現地での貧しい暮らしを余儀なくされている。