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図書館戦争のmofaのレビュー・感想・評価

図書館戦争(2013年製作の映画)
1.0
【有川ワールドこそ、許される】

有川浩原作のこちら。
原作は、すべて、読了済み。
 
胸キュンポイントが散りばめられて、好きな小説。

そもそも、この世界は、アニメの世界だと思う。
小説であっても、アニメの世界。
 サクサクと、漫画感覚で、読み進めることが出来るのだ。

だから、映画化と聞いて、
おいおい、ど~なんだ?と思った。

 主演は、岡田准一と、榮倉奈々。
岡田准一は、いいとしても、榮倉奈々。
 私は、彼女の演技が好きではない。
・・・・それは、さておき。

 映画の感想は。

やっぱり、実写化は、イカンですな。
漫画・アニメの世界であるからこそ、

「本を守るために、人を殺してもいい」という、
どんでもない内容が、許されるのである。
 それを実写化してしまうと、
最後まで、
「おいおい・・・・本のために、戦争するわけ?」という違和感が、
残り続けるのだ。
 その結果、本を守るための正義云々を語られても、全く、納得出来ない。

 勿論、表現・言論の自由を守るために、血が流れたという歴史的事実も存在するが、
それとは、全く、次元が違う。
 
 だから、この原作を映画化するならば、
もう少し、コメディをベースに・・・するべきだったんじゃないかと。

 図書隊が、
「本を守るために」と真面目に言えば言うほど、
全く持って、説得力がない。


主人公の堂上もまた、無口真面目だけで、何の魅力もない。

あの有川ワールドの、乙女の心をキュンキュンさせてくれた堂上殿は、
一体いずこに・・・・。
 魅力のなさでいうと、笠原もだけど。
 完全に、その魅力を失った2人が、
接近しても、胸キュンどころか、なんか妙に恥ずかしくなって、目をそむけたくなってしまうという。
 
「後生だから、無事でいてくれ」

 小説では、最大の胸キュンポイントだったはずなのに・・・・・


原作を読んでいるからこそ、この程度の感想で済むが、
原作を読んでなかったら、
もっと辛辣レビューになったかも知れない。

 本のために、戦争さながらの、シーンが繰り広げられる。
死んでいく人間がいる。
 その、アンバランスな感じ。
本を抹殺すべき人達の、執念も、
本を守るべき人達の、信念も、
見えてこない。

「秘密保護法」など、言われる今。
将来への警鐘とするならば、意味のない戦闘シーンばかりではなく、
訴える手立ては、もっとあったはず。
 この手の原作を、映画にする必要はない。

 この原作を実写化したいだけだったのなら、
完全に、失敗だろう。
 戦闘シーンも極力減らし、堂上と笠原の恋愛に重きをおいても良かったんじゃないかな。

 ・・・というか。
この世界は、それこそ、自由な小説の世界だから、
受け入れられる。
 漫画感覚で、サクサクと読める小説だからこそ。

もっと言えば。

有川浩の、
あの絶妙な世界だからこそ、許されるような気がするのだ。
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