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そして父になるのyaekoのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
3.9

ずっと心の中に針が刺さってるみたいに、チクチクしたものを感じながら、でも目が離せなくて、吸い込まれるように観た。
最後の15分くらいからは、もう泣きながら観た。

なんだか脳がバグりそう、になった。
6年間愛して愛して、大切に育てた子が他人の子で、
でもその子は自分の信念というか、自分自身の心を込めて育ててきた子で、
一緒に過ごした思い出も記憶も全部その子で、
“この子はきっと私に似たのよ”なんて台詞まで出る。
けれど、本当に血が繋がっている自分の子は、自分と確かに似ているけれど、同じ時間を共有していなくて、心が通っているような感じがなくて、寂しさがあって、、、
ああ全然、言いたいことの半分も言語化できてない。

血か環境か、みたいな究極の問題を突き付けられて、そんなの狼狽えるに決まっているけど、親は結論を出して行かなきゃいけないのがしんどいし、わたしなら泣き喚くとかじゃ済まなそう。

子どもって当然、大人より脳が発達してないし、経験も少ないし、
なのにどうしてあんなにも繊細に、大人のことを分かっているのだろうか。
幼いとばかり思っていると、時折自分よりも分かっているのではと思うような、応答に出会うことがある。
もうね、けいた君はそんな風で、とても健気で、パパなんかパパじゃない、とか、もう泣けて泣けたよ。

良かった。大人たちがみんな、子どもたちのことを1番に、大事に考える人たちで、本当に良かった。

是枝監督の描く家族像は、本当にすごい。
決して明るい話な訳じゃないのにどうしてかいつも、心を洗われたような気持ちになる。問われているような気持ちになる。
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