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そして父になるのarichiruのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
4.1
自分も一児の父として、いろいろ身につまされる想いがした。子や妻への向き合い方は、自分(や自分の過去)への向き合い方そのものなんだなあと。

リョウタという「負けたことの無い」勘違い野郎の視点を通して、人の持つ仕事観、家族観、教育観、人生観を根底から問い直す、素晴らしい作品だと思う。

アクセル全開中のパパさんには特に見て欲しいし、親とはこんな不完全なものなんだということを知ってもらう意味で、ぜひ思春期の子供世代にも勧めたい。

確かに親って、それこそ「そして親になっていく」ものであって、子供ができた瞬間に親になるわけではない。

仕事はそれなりにできても、自分とか社会なんて全然よく分かってないまま社会人になり、親になっていたりする。「自分って何なのか、子供って何なのか」を勘違いしたままでも仕事はできちゃって、そうしてそのままバイアスを引きずって、偏った価値観を子に押し付け、埋め込もうとする。自分が子供に「無理」を強制していることに気付かない。

私はリョウタほどカッコいい人生ではないが、似たようなことは結構しているということを、この映画では思い知らされた。そういう気づきが得られて良かった。

みな初めての人生、初めての子育て。互いの不完全さを受け止めつつ、進んでいくしかない。

ちなみに、この映画の「リリーフランキー目線」も見てみたい。
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