カナノシ

クロニクルのカナノシのレビュー・感想・評価

クロニクル(2012年製作の映画)
4.0
病気の母と、怪我で失職した父のもとで鬱屈した日々を過ごす高校生アンドリュー。
彼は安物のビデオカメラを買い、彼なりの日常を映像に収める事を趣味にしようと思い立つ。
ある日、アンドリューは学校のパーティで気象の荒いクラスメイトに撮影を咎められ衆目のもと袋叩きにあい独り途方に暮れていた。
そんな中、彼の従兄弟のマットと学校一の人気者のスティーブから珍しいものを見つけたから撮影してほしいと声をかけられる。
向かった先で彼らが見たものは、生物のような謎の物体。
近づいた次の瞬間、彼らは昏倒する様な眩暈に襲われる。
気がつくと、そこにあった謎の物体は消えていて代わりに彼らに不思議な力が芽生えていた。

カメラが捉えていた、力に翻弄される少年たちの一部始終は果たして如何なるものだったのかーーーな話。

これずっと観たかったんだけど中々機会に恵まれず、ようやく。
アンドリューやその友人らのカメラ、はたまた周辺の監視カメラやたまたま通りかかった車のドライブレコーダーに残された「彼らについて」をファウンドフッテージ形式で描く傑作。

あくまで「彼らについて」に終始しているため、謎の物体の正体や彼らに備わった力の理由にはほぼ言及は無いが、それ故に力に溺れ振り回される人の心の機微が堪能できる。

初めは新しいおもちゃを手に入れた子供のようにはしゃいでいたものの、身の丈にそぐわない力によって周りも自身をも傷つけて行く…これって銃とか兵器とかはたまた権力とかのアンチテーゼ的な?
アンドリューは子供だったんだなぁ。せっかく良い友人に巡り会えたのに。でも子供のままだったのは環境もあったしなぁ。でも親も別になるべくしてああなった訳じゃないしなぁと良いモヤモヤ。
人を憎まず罪を憎むべきを地で行くストーリー。いやぁこういう陰鬱な青春モノもいいよなぁ。

デインデハーンってホント不憫な役が合うわ…

期待通りの逸品でした!この不思議な余韻は、北海道白樺樹液ドリンク「森の雫」の如し。
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