KazuhiroSugano

クロニクルのKazuhiroSuganoのレビュー・感想・評価

クロニクル(2012年製作の映画)
4.0
ハリウッド版・大友克洋(童夢・AKIRA)。ファウンド・フッテージ形式、つまり登場人物たちが撮ったヴィデオや、防犯カメラなどの映像から再構成されたという「てい」。途中かなり苦しい所が何箇所かあるものの、この形式はかなり成功している。というのも、CGがあまりにも自然に「超能力」を表現できるようになった今、ドキュメンタリー的な手法の方が「真実らしくない」ものを受容させやすいのかもしれない。主人公の3人の高校生が三者三様なのがいい。生徒会長に立候補した黒人、理屈屋の善人、いじめられっ子(AKIRAの鉄雄的な)。特にこの鉄雄ことアンドリューの家庭環境の悲惨さには同情を禁じ得ないはずだ。そういう意味では「キャリー」的で、スティーブン・キングなのかもしれない。結末は良いね。
追記:スティーブン・キングで思い出したが、あり得ない話を「真実らしく」納得させる手法には2つある。ラブクラフトのように神話体系を練成する方法と、キングのように同時代の日常的なアイテムを差し挟んでいく方法。この映画はやはり後者で、主人公の撮影しているカメラが視点になっているところが大きい。