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バーニーズ・バージョン ローマと共にのseahawkのレビュー・感想・評価

4.3
結論からいうと、これは傑作かもしれない。大人の純愛とダメ男の人生賛歌だ。

前半はポール・ジアマッティがいい俳優だという周知の事実は再確認できても彼が演じる主人公を到底好きになれそうにないと思った。主人公に共感できないのは、致命的だ。居心地の悪い、地味に不快なエピソードも多く、あとはダスティン・ホフマンと痛すぎるミニー・ドライバーが笑かしてくれることと、ローマの街並みを楽しみになんとか2時間半観るしかないのかと思っていたら…

後半の巻き返しがすごい。!演技もストーリーも良い方にエスカレートしていく。主人公バーニーにどっぷり感情移入してしまうことになるとは。

人は一生に一人しか愛せないと聞いたことがある。真偽は神のみぞ知るが、バーニーはまさにそうだった。

しかし愛した人が愛してくれても、それが当たり前のことになると、そのことに常に感謝し続けるのは難しい。仕事や娯楽や子ども、人づきあいだってある人の世で、恋愛のことだけを考えて日々を過ごすわけにはいかないから。所有欲、嫉妬や不安も芽生える。

ダメな男の嘘や過ちを許してやってほしいと思ったのは初めてかもしれない。

間違いだらけだった一途な愛情と友情、父子の家族愛が切ない。

ロザムンド・パイクも今まで見た映画で一番輝いていた。
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