ShoM

本陣殺人事件のShoMのレビュー・感想・評価

本陣殺人事件(1975年製作の映画)
-
市川崑✕石坂浩二以前の金田一モノ。金田一耕助はヒッピー風な中尾彬。ATG製作で時代背景を現代にしながらも、高林陽一の演出と、西岡善信・森田富士郎ら大映京都のスタッフ陣の手腕よって横溝的な空気を上手く醸成。

一柳鈴子の葬列、蔵の中の地獄絵巻、猫の墓での金田一と鈴子の会話──改めて見るとミステリの物語装置としての「死」以外にも、様々な要素が「死」を匂い立たせている。市川崑版が金田一耕助の謎解きがクライマックスに配置し映画にカタルシスをもたらすのに対し、本作はそうはなってはおらず、純然たるミステリー映画とは言えないかもしれない。

磯川(いそがわ)警部=東野英心の眼鏡姿は、いつも以上にハマケンこと浜野謙太に似ている……。一柳三郎役の新田章はどこか松橋登と似た頽廃的な雰囲気を感じ、役柄と見事には嵌っている。
ShoM

ShoM