彦次郎

本陣殺人事件の彦次郎のレビュー・感想・評価

本陣殺人事件(1975年製作の映画)
3.5
岡山県の一柳家長男賢蔵と久保克子の結婚式後の深夜、新郎新婦の寝屋である離れ家から悲鳴と琴をかき鳴らす音が惨劇を知らせる横溝正史原作の本格推理小説の映画化。横溝正史の戦後第1作目、金田一耕介のデビュー作にして密室になりがたい日本家屋を使った不可能犯罪を描いた作品です。映画版では予算の都合から時代を現代(公開当時の1975年)に置き換えられています。金田一演じる中尾彬氏も時代に合わせてジーンズ姿ですが温厚ながらも眼光鋭く淡々と事件を調べる姿はキチンと探偵していました。
三本指の男というキーマンは字面では不気味ですが実写化すると枯れ尾花的なものを感じます。実写になったことで読んだときにはいまいちピンとこなかったトリックが頭に入ってきました。これはこの作品の最大の功績ではないでしょうか。なおネタバレになるため詳細は書けませんが犯人の動機及び人間性はかなりヤバイです。
後に市川監督の金田一シリーズが定番化されますが本作も劣らずに楽しめる作品でした。
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