大道幸之丞

本陣殺人事件の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

本陣殺人事件(1975年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

角川映画のシリーズに入る前の横溝正史原作の映画化作品。「金田一耕助シリーズ」の第1作

旧本陣の末裔一柳家の屋敷で密室殺人が起こる。一柳家の長男。当主であり将来を嘱望されている学者一柳賢蔵(田村高廣)と久保銀造(加賀邦男)の娘克子(水原ゆう紀)の婚礼を行ったその夜だった。しかも新郎新婦が日本刀で切られて絶命しているが、その凶器の日本刀は庭にあり、降雪のために犯人の足跡もない。しかも目撃者によると犯行時間と思しきタイミングで琴がかき鳴らされたという。

——で、結局はプライドの高い賢蔵は気高い美しさをもつ克子には、過去交際した男がいて、すでに処女ではない——というのが犯行理由。

殺す際に「この白豚」とつぶやく。なぜ自分も死んだのかといえば自殺であれば自身の敗北であるから、他殺に見せかけなければならない。そこで推理小説マニアの弟一柳三郎(新田章)の知恵を借りた——という寸法。「嫁は無垢でなければならない」という気風は確かに昔はあった。「嫁に行けない体」という表現が存在していた頃だろう。

犯人候補が次々に現れるがそんなはずがない事を我々も感じる、結局推理小説マニアの三郎が金田一からプライドを傷つけらたと、余計な行動をとった事と、妹の腺病質の鈴子がヒントに繋がる発言があり金田一はトリックを見破り実際に実演検証するのであった。

「密室殺人」というミステリーでは王道の世界を日本の原作で実現できた事に価値がある。中尾彬の金田一耕助も良かった。