開明獣

セカンド・カミングの開明獣のレビュー・感想・評価

セカンド・カミング(2012年製作の映画)
5.0
スコットランド出身のラクラン・マクアルドニックは、かつてブレーク一歩手前のロックバンドのギタリストだった。バンドはボーカルの突然の死によって失速。ラクランは音楽を辞め、ロス郊外の農園で働いている。

ウィスキーを呷りながら、趣味で夜中にポッドキャストでマーク・ボランやジャニス・ジョプリンら、夭逝したロック・ミュージシャンを語るDJをしている。

妻と娘とは別れたまま10年以上も会ってない。仕事も遅刻したりサボったり、自堕落な生活を送っている。自己中で身勝手で、生活力はない。結局酒に走り、飲酒運転で捕まり、強制送還寸前のラクラン。

殆どの人が、ラクランを自業自得だと切って捨てるだろう。共感も同情もあまりないかもしれない。でも、もし自分が同じ立場ならどうだろう?恐らく同じように自暴自棄になってしまうんだろうな。

人間なんて、そんなに強くはない。叩きのめされて、打ちのめされたら、誰だって引きずるし、そんなに簡単には立ち上がれない。だから若くして死んでいくミュージシャンが後を絶たないのかもしれない。

観終わって、琥珀色の液体を前にぼんやりそんなことを思った。
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